《MUMEI》

───後は、悲惨なものだった。

季紫が手を喜多の頭に触れる。

それだけだった、だが直後に喜多は倒れ、痙攣を始めのたうちまわりこの世のものとは思えない絶叫を上げ始めた。

あまりの絶叫に医十印は苦い顔で耳を塞ぎ、
快楽は胸の前で十字を切りながら祈り始め、
気絶から絶叫により目を覚ました者達はその光景を見た瞬間、死んだふりを開始した。


ただ一人、ミスアだけは目を爛々と輝かせ、無邪気に笑いながら、「すごいすごーい!」とはしゃいでいた。


季紫は無表情のまま、聞こえているかも分からない喜多に言う。


「君は生き方から間違えているように見える、罪を痛みとし、戒め、今までの自分を忘れ、一から生き直すんだな。目ぇ覚ました時にゃあ、悪行に関することは忘れてるだろ」


そして最後に、まるで自分に言い聞かせるように呟いた。

「自分の罪は、償うべきだ。───たとえ何年かかっても。」


そう呟く季紫の顔はどこか悔やんでいるようにも見えた。

───昔の自分のように
"後から後悔する事"
がないように…


そんなつぶやきはとうとう誰にも届かず空に消えていった。

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