《MUMEI》
絶対零度の忍
《公衆の面前でセクハラされた挙句に脱がされたというわけか》

「…そこだけ強調すんな」

《事実だろう》


(そうだけど)


今更ながら、詳しい劇の内容を忍に報告しておかなかった事を俺は後悔していた。


いつもの報告の電話で、疲れた口調の俺に気付いた忍は、改めて劇の内容を事細かく訊いてきたのだった。


《来年もそんな卑猥な内容なのか?》

「そんな風に言うな」


確かに妖しいシーンもあったが、劇は基本的に純恋物で、感動してくれた観客も多かった。


「それに、多分来年は準備に時間かけられないから、ギャグ路線にするらしいし」

《どういう事だ?》

「文化祭、七月になるかもしれないから」


これはまだ噂だが、もしそうなれば、練習時間が短いからここまで凝った内容には出来ない。


《それはいい案だな》


忍がそう言ったからではないが


翌日、合唱コンクールの前に校長は


来年は、七月に文化祭を行う事に決定したと発表した。


ちなみに、明皇とは時期をずらすらしい。


その事を知った柊は、かなり安心したようだ。

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