《MUMEI》

「那加っ、おい‥」





俺が呼び掛けた時にはもう、

那加は駆け出していた。





淡いピンクの裾を翻して、

どんどん俺から遠ざかって行く。





「おい‥那加──」





止まる気配はない。





放っておく訳にはいかないから、

俺も、

追いかける事にした。





‥でも。





どういう訳か、

見失ってしまった。





「那加ー?」





どこに行ったんだ‥?





「那加ー!」

「日向ぁ、こっちこっち♪」

「那加ッ!?」





何でそんな茂みの中から‥。





「見て日向っ、捕まえたの♪」

「ぇ‥」





捕まえた‥?

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