《MUMEI》 体育館入口「「あ」」 校庭を離れ、体育館近くにいると、意外な人物が入口に座っていた。 「もしかして、先輩も逃げてきたんですか?」 「逃げ…、いや、俺、もてないし」 俺の言葉に、座っていた人物 朝倉は、目を丸くしていた。 そして、フッと笑い 「皆声かけたいけど、先輩が綺麗過ぎて遠慮してるんですよ。それに… 先輩、今女子より男子に人気で、近付く女子を男子が威嚇してるらしいですよ」 と、説明した。 「知らなかった…」 「座りません?」 呆然とする俺に、朝倉は再び微笑みながら、隣を指した。 「あぁ」 断る理由も無いので俺はそれに従った。 (そういえば、朝倉とこうやって話すの初めてかも) なんだかんだで他の花嫁候補と接してはいるが、朝倉とは初めてだった。 「こうやって先輩と話すの初めてですよね」 朝倉も同じ事を考えていたらしい。 「そうだな」 「…」 「…」 … (か、会話が続かない…) 朝倉が黙ってしまったので、しばらく沈黙が続き 何だか居心地が悪かった。 前へ |次へ |
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