《MUMEI》
朝倉の頼み
「先輩」

「ん?」


俺を見る朝倉の表情はかなり真剣だった。


「お願いがあります」

「…何?」

「リボン交換して下さい」

「え!」


(それって…)


「あ、告白じゃないから安心して下さい」

「あ、そう」


(焦った)


朝倉が俺を好きかと誤解してしまった。


「実は、私もいろんな人から交換してくれと頼まれて、困ってるんです」

「朝倉…さん、モテるからね」


一応後輩でも、あまり面識が無いからさん付けにした。


「奈都でいいですよ。私も祐也先輩って呼んでいいですか?」

「…何で?」

「うちのクラスに田中君ているし、先輩を名前で呼ぶからには私も名前で呼ばれないとと思いまして」

「そういうもん?」


俺はいまいちよくわからないが、朝倉…


奈都が、深く頷くから納得する事にした。


「で、俺とリボン交換する理由は?」

「私、今のところ誰とも付き合うつもりないんですけど、そう言って断ってもまだしつこくて…」

「だから?」

「正直、ストーカーっぽい人もいて怖いんです!彼氏のフリしてもらえませんか!?」

「あの…何で俺なの?」


いきなり深刻な話をされて、俺は戸惑っていた。

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