《MUMEI》 リボン交換「だって、先輩なら…人気者だし、強いらしいし、ストーカーも近付かないだろうし… もしかしたら、諦めるかもしれないし」 「奈都は、俺の事よく知らないのに、そんなに頼っていいの?」 (俺だったら、頼らないけどな) ストーカーが怖いのは普通だと思う。 誰かに頼りたいというのも普通だ。 そこまでは、理解できるが 相手が俺なのが理解できない。 「…知らないけど、先輩の悪い噂聞かないし」 「…俺、恋人いるよ?」 「え!?」 「遠恋だけど。だから、ごめん」 「ま、待って下さい!」 (しつこいな) 俺は振り返って奈都を見た。 何故かよくわからないが、これ以上話をしても無駄な気がした。 「あの、じゃあ、今回だけ!リボンだけお願いします!あと迷惑かけませんから」 (何でそんなにリボンにこだわるんだ?) 「…いいよ」 疑問に思ったが、俺は奈都から解放されたくて、頷いた。 「ありがとうございます!」 それから、言われた通り奈都の手首に青いリボンを結んだ。 (何だったんだ、一体) 奈都からもらった赤いリボンを眺めて、俺はため息をついた。 前へ |次へ |
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