《MUMEI》

「ぁぁ、──ほら」





帽子を振って見せると、

那加は手を叩いて喜んだ。





「凄いっ、日向すごーい♪」

「ちょっと待ってな、今降りるから」

「気をつけてよ?」

「──分かってる」





落ちたら骨折し兼ねないからな‥。





「──!!」

「日向!?」

「ぃゃ、大丈夫‥」





‥踏み外しかけたけど‥。





「もぉっ、気をつけて≠チて言ったじゃない」

「気を付けてた‥はずなんだけど‥」

「そういうのは気をつけてないって言うの」





仁王立ちで腕組みをして、

那加は俺を見据えた。





「怪我なんかしたら承知しないからね?」

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