《MUMEI》 「ハイ、姫サマ‥」 ハシゴから落ちなくて良かった‥。 「──ほら、帽子」 「‥‥‥ありがと」 那加の頬が、 薔薇色に染まっている。 「どこも怪我してない?」 「ぁぁ」 「ならいいけど‥」 那加は、 帽子で顔を隠すようにしながら言った。 俺は、 そっと手を伸ばして帽子の鍔に手をかけた。 「きゃッ!? ちょっと日向っ」 「隠さなくてもいいだろ?」 「うるさいッ。返してよ帽子っ」 「スイマセン‥」 俺はすぐに、 帽子を那加の頭に被せてやった。 前へ |次へ |
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