《MUMEI》
「えっと‥笹木さんです」

「笹木な──。分かった」

「ぇっ、あの‥先生‥？」

「大丈夫や、オレに任しとき」

「先生‥？」

「笹木には、ちゃんと言うとくから安心しぃ」

「──ぁ、でも‥」

「──言うたやろ？ 前に」

「‥ぇ‥」

「オレが守ったるから心配せんでええ。──なっ」

「はい‥」

「ぁ‥、時間大丈夫なんか？」

「──ぁ‥」





卯月は、弾かれたみたいに駆け出した。





と思たら、立ち止まって振り返った。





「先生っ」

「？」

「ありがとうございましたっ」

「──おう、ほなまたな」

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