《MUMEI》
球技大会
「しっかし、意外だよなー」

「うるせー」


感心したような、呆れたような口調の真司を、俺は睨みつけた。


球技大会は、男子はバスケ・バレー・サッカーのどれかに参加しなければならない。


俺は、人数が最も多く、目立たなそうなサッカーを選択していた。


はっきり言って、俺は球技全般が苦手だった。


そんな俺ができる事は、ひたすら走る事。


そして、真司のパスをもらったら、シュートする事


これだけだった。


「ドリブルもパスもディフェンスもズタボロなのに、ヘディングシュートとダイビングボレーができるって、どういう事?」

「知るか」


真司のパスに必死で手以外を伸ばした結果、たまたまそれが出来たのだ。


「ま、拓磨がディフェンス頑張るし、ドリブルは守と俺が出来るからいいか」


(改めて思ったけど)


サッカーをしている時


サッカーの話をしている時の真司は、いつもより生き生きしていた。


「サッカー、好きなんだな」

「一生やりたいくらいにな」


俺の言葉に、真司は真剣な表情で答えた。


試合は、サッカー部三人のおかげでサッカーは全勝だった。

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