《MUMEI》

「そんな顔したって許さないもん」





那加は、

ツン、

とそっぽを向いたままだ。





膨れっ面の横顔が、

やけに可愛く見えるのは気のせい‥

じゃないな。





「ちょっとぉ、見ないでって言ってるでしょ?」

「も‥申し訳ございまセン‥」

「ぁー‥もぉ‥怒ったらお腹空いたじゃない」

「はい‥?」

「何か買って来てよ」

「ぇ‥、何か、と申しますと‥?」

「いいから早く行って来て」

「ぇ‥那加、何を──」





何が欲しいのかすら分からないまま、

一旦病院の中に戻った俺。





「何かって言われてもなぁ‥」





那加が今、

何を食べたいのかが分からない‥。

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