《MUMEI》

図書室で、本を借りようとした時だった。





「──卯月サン」





誰かが、私を呼んだ。





「ぇ、あの‥何か‥」

「ちょっといい?」

「‥‥‥ぇ‥」





何故か私は、本棚の陰に連れ込まれた。





「あの‥?」

「──眞野っちと付き合ってるの?」

「‥ぇ?」

「答えて」

「私は‥‥‥全然‥」






その時、携帯電話がポケットから落ちた。





‥そこに付いているストラップに、冷たい視線が注がれる。





「何? これ」

「‥それは‥」





それは‥‥‥眞野先生が私にくれた物‥。

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