《MUMEI》

「──風‥吹いたのか‥」





ただ茫然として立ち尽くすばかりの俺の隣りで、

那加は燥ぎまくっている。





「凄い日向っ、凄い凄い♪」

「──那加、これは俺じゃ‥」

「日向だよっ」

「───────」





そういう事にしておくか‥。





那加は、

そう信じ切ってるみたいだし‥。





「もう今年はこれで終わりかな‥」





那加は、

何だか寂しげだ。





「ぁーぁ、1年中春ならいいのに」

「何でだ‥?」

「だって、そうならずーっとお花見出来るもん」

「──葉桜も結構いいと思うけどな」

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