《MUMEI》

──静かだ。





何でこんなに静かなんだ‥?





お互いの鼓動が、

やけに煩い。





いや、

煩いような気がしているだけか‥?





「ひなた──」

「‥?」

「放さないでね」

「──了解」





さっきまで、

那加は散々騒いでいたのに──

今はとろんとした目をして心地良さげにしている。





「あったかい‥」

「‥あったかい‥?」

「うん」





那加は、

コクリ、

と軽く頷いた。





「ひなた──あったかい」

「──良かった」

「何で‥?」

「那加の事、暖めてやれて──」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「良かった」

「うーるーさーいっ」





那加は鬱陶しそうに言って、

後ろから抱き締めている俺の方に振り向いた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫