《MUMEI》
彩VS式夜(修練
驚きは一瞬、判断も一瞬。即座に右手に魔力を収束、床を叩き、瞬動を発動させる。
ガッ!!!と大きく床を穿つ音が響く。
右手に発動させた瞬動により左側へと回転しながら跳ぶ式夜。なんとか着地するが、地面に膝をつく。良く見れば膝が震えている。
「はぁ・・はぁ・・」
肩で大きく息をしながら構えを居合いへと変化させる式夜。視線は彩詩から離さず首に手をやる。首筋には赤いあざが浮かび、僅かに出血している。
「く・・」
苛立たしそうに手に着いた血を拭う。視線が彩詩から外れた。その一瞬で彩詩は瞬動による高速移動、狙いは式夜の真正面。
ホークアイによる時間が遅くなったような感覚の中、式夜は顔に笑みを浮かべる。彩詩はそれに応じるように頷く。
彩詩の放った中段の突きを相手の右へと回りこむ動作で避ける。避けきれずに左肩に直撃。鈍い音が体内に響き、血が散る。
(左肩が砕けたか・・構うものか!この程度で・・)
心中に決意を固め、左から右上に抜ける横薙ぎの一撃を放つ。
ギィィン!!
響いたのは金属音。彩詩が左腕に着けていた盾によって横薙ぎの一撃を受け止めている。
そう判断できた刹那、お互いに別れるように後方へと跳躍。彼我の距離は6メートル程度。
着地と同時、術式の詠唱を始める二人。
「天に堕ちる蒼龍よ、我が呼びかけに答え、纏いし雷光を貸し与えたまえ!」
式夜の周囲に13の青い雷球が発生する。
彩詩は盾を展開、即座に弓へと形状を変化させていく。
「壮麗たる光よ、全てを射抜く矢となりて我が前に集え!」
光が彩詩の左手、弓へと収束していく。
「ライトニングスプレッド」  「セイクレインファランクス」
二人の声が響く。式夜の周囲に展開していた雷球はそれぞれ一条の鋭い雷となり彩詩へと殺到する。彩詩が放った光は13条の光の矢となりそれぞれ雷を目指し飛んでいく。
二人の間に雷光が弾け、白い光の花が咲く。
その合間を抜けるように疾走する式夜。視界の中に彩詩を収め突きを放つ。

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