《MUMEI》

那加が寝てから、

1時間が過ぎた。





まだ、

那加は起きる気配がない。





いつもは、

30分位しか眠らない那加が、

こんなに寝ているって事は‥

疲れていたって事なんだろうな──。





「──ひなたぁ」

「!?」

「〜〜〜‥おなかすいた‥」

「ぁ‥佳代子さんがこれ起きにきてくれたんだけど──」

「なに‥?」

「ほら、那加が気に入ってた苺のムース──」

「───────」

「ほら」





スプーンで掬って口元に近付けてやると、

那加は寝ぼけ眼のままパクッと口を開けてムースを食べた。

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