《MUMEI》

「──先生っ、眞野先生ー!」

「‥?」





俺をこう呼ぶんは、あいつしかいーひん。





「卯月──」

「先生、あのっ‥」

「ん‥?」

「ありがとうございました」

「ぇ、俺何かしたか?」

「さっき笹木さんが来て──」

「笹木が?」

「謝ってくれて──」

「そ‥‥‥そか」

「ありがとうございました」

「俺はあいつに言うただけやから」

「いえ、本当に嬉しかったんです──」





そこで一旦、卯月は言葉を区切った。





「それで、あの‥」

「どないしたんや?」

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