《MUMEI》
一糸纏わぬ姿
バスタオル一枚でベッドに仰向けに寝たれおん。準に上から見下ろされて、緊張が高まった。
「れおんチャン。ポーズ取る前に、素材が見たい」
「素材?」
「君の裸」
はだか。この言葉には魔力があるのか。れおんは興奮してきた。
「恥ずかしい」
みるみる顔を赤く染めるれおんが、愛おしくてたまらない。準にとっても夢のひとときだ。
「れおんチャン。両手両足を広げて」
「嘘でしょ?」
「ホントだよ」
「ええ、恥ずかしいよ」
困り果てるれおんに、準は厳しい目で迫る。
「ちゃんと見たいから。言うこと聞いて」
「絶対服従ですか?」
「絶対服従」
「嘘」
れおんは観念して両手両足を広げた。
「バスタオル取るよ」
「待って」
またバスタオルを両手で掴んだ。
「恥ずかしいよ」
こんな刺激的な場面を目の前にして、若い準がエキサイトしていないわけがない。
「ダメだよ、言うこと聞いて」
「はい」
れおんは両手両足を広げた。
「じゃあ、取るよ」
「恥ずかしい!」
れおんは目を閉じて横を向いた。
バスタオルが取られた。
「恥ずかしい!」
れおんの顔は気の毒なほど真っ赤になった。
全部見られてしまっている。
「恥ずかしい、無理」
泣きそうな表情。
「まだ。もう無理。恥ずかしい」
「美しい…」
準の声。感動に打ち震えていた。
「こんな美しい裸体は、見たことがない」
れおんは唇を真一文字にしながら、恥ずかしさに耐えていた。
「お願い準さん、もういいでしょ」
準は優しくバスタオルを体に掛けてくれた。
「ありがとう、れおんチャン」
「いえ。騒いでごめんなさい」
準はスケッチブックを用意した。
「れおんチャン。君は最高だよ」
れおんは小声で囁いた。
「誉めてくれてありがとうね」
「本音だよ」
体を誉められるのはやはり嬉しい。
準が再び迫る。
「れおんチャン。本番だよ」
「グラビアアイドルみたい」れおんが笑う。
「君ほどのモデルは芸能界でもいないでしょ」
「準さん視力いくつ?」
「0.7」
「ダメじゃん」れおんは照れ隠しに笑った。
準がバスタオルを掴む。
「今度はポーズを決めるよ」
「恥ずかしい」
あっさりバスタオルを取られた。れおんは膝で下を隠し、両腕で胸を押さえた。
「脚はね。左脚を曲げてみて」
「左脚?」
「もう少し高く」
準のイメージがわからない。
「いいですよ、手で動かして」
「指一本触れないって約束したから」
「特別に許します」
れおんが笑みを浮かべる。準の興奮も最高潮だ。
「じゃあ、触るよ」
準はれおんの足首を力強く掴むと、遠慮なくグイッと動かした。
かろうじて大切なところは膝で隠されているポーズ。れおんは少しホッとした。
「次、両手はね」
準はれおんの両手首を掴むと、上へ上げようとした。れおんが力を入れて抵抗する。
「バンザイして」
「バンザイ?」れおんは目を丸くした。
「頼む」
「胸は隠せないの?」
「一生のお願い」
れおんはふくれた。
「嘘つき」
仕方なくバンザイした。これでは胸がもろに見えてしまう。
「恥ずかしい」
準は構わず、れおんの腰を両手で挟んだ。
「あっ」
「もうちょいこっち」
「はい」
(やってくれるじゃない)
れおんが真顔になる。準はスケッチブックを持つと、いきなり鉛筆で描き始めた。
「ちょっと待って、ちょっと待って」
「どうしたの?」
「恥ずかし過ぎる」
さっきは見られただけだが、それでも凄く恥ずかしかった。しかしスケッチされるのは写真を撮られているようで、たまらなく羞恥心を煽った。
思わず身じろぎするれおん。
「ダメだよ動いちゃ」
「恥ずかしい」
準は容赦なくスケッチする。
「準さん」
「何?」
「たまらなく恥ずかしい」
「休憩する?」
「任せます」
「じゃあ、休憩しよう」
準がバスタオルを掛ける前に、れおんは両腕で胸を隠した。
「ダメ…」
汗びっしょりだ。

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