《MUMEI》 ◇昼休み、私は先生に会いに来た。 「──ほい」 「ぁ‥ありがとうございます」 冷たい、ココアの缶。 「──ぁ、これ直してみたんですけど‥」 「お‥凄いやんっ」 「縫い止めただけ‥なんですけどね」 「いやぁ、オレには出来ひんわ──。卯月器用なんやなぁ、やっぱし」 「‥‥‥‥‥‥‥」 何だか、体が熱い。 「せやけど──何でそないしてまで使うてくれるんや‥?」 「私には──宝物なんです」 「‥宝物‥?」 「──はい」 前へ |次へ |
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