《MUMEI》

「宝物、て──何やええ響きやな」

「ぇ」

「おおきにな」

「──ぃぇ‥」





お礼言われるような事は、私してないし‥。





「卯月」

「‥ぇ」

「大丈夫か?」

「‥はい‥」

「あんな、オレまだちゃんと言うてへんかったけど‥」

「?」

「オレ──‥」

「先生‥?」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「オレ‥‥‥、!?」

「眞野先生、ちょっといいですか?」

「ぁ‥、はい」

「先生──」

「ちょっと待っとってな」

「はい‥」

「すぐ戻って来るからな」





先生は、

一度屋上から出て行った。

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