《MUMEI》

「病院を出る時は、俺も一緒だからな」

「‥うん」

「約束、な」

「うん」





表情は見えなかったけど、

那加の表情は穏やかなんだと分かった。





「──あたしって──」

「ぇ」

「あたし──幸せかも」

「幸せ‥?」

「──うん」




那加は、

膝を抱えて座り直すと‥

俺の方に凭れてきた。





「ここにいるのも、悪くないかも」

「那加‥?」

「日向が会いに来てくれるなら、だけど」

「会いに来る。俺だって那加に会いたいし。今までだって──そうしてきただろ?」

「──うん」

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