《MUMEI》

樹は若菜と待ち合わせをしていた。誕生日を祝う為である。


入院やバイトでちゃんとした物を買えなかった。


シフトを代わってもらい、二人で出掛ける約束をした。


「今日、全部俺が奢るから」
若菜の小さな肩が触れる。

「……じゃー、私マン喫行きたいな。」
樹は若菜の手を引く。

「俺は映画が観たいな。」
多少強引に行かないと遠慮されてしまう。……プライドが許さない。

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