《MUMEI》

扉を抜けると、そこには雪川さんがいた。

血まみれの私を見て、小さな悲鳴をあげていた。


「雪川さんも、一緒に外に出る?」


私は、笑いかけたが雪川さんは私ではなく、教室の奥を見ていた。


「…楓ちゃんは?」


雪川さんは怯えた顔で私に聞いた。


「…教室にいるよ。見る?」


雪川さんは、はっとした。

そして、私の横を通り過ぎ教室へ入っていった。


「ひぃっ!!」


雪川さんの悲鳴。

見なきゃ、よかったのに…


「なんで…こんな…」

「先に切り掛かってきたのは、楓だよ。」


雪川さんは、きっと私を睨んだ。


「なんで、そんなに落ち着いてるのよっ!?
この…人殺し!!」


人殺し…?

私が…?


私は、ガラスに映った自分の姿をみた。


全身、赤く血に染まり、手には鉈を持ち、瞳孔を大きく開いている自分が映った。


この手で…

私が…

楓を殺した…?

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