《MUMEI》

「なにを……」




隆志は俺を見る事もなく、惇を見ている。
その横顔は、俺とは比べられない位大人びていて…−−−


今までこんな隆志見た事がない、こいつなら全てを任せても大丈夫だって…、



そう、確信した。



こんなにも穏やかな、迷いのない隆志を、俺は始めて見た。


「…惇は俺じゃなきゃ助けられない」

「…、ん…」

「お前のさっきのぐちゃぐちゃな独り言、あれ本心だろ?

「……、…」





「…、俺もな、お前にはひでー事してっから言えた義理じゃねーんだけど…


お前はずるいな…、すっげー勝手、偽善者、カッコつけ、エロ、ばか、…なんかむかつく」

「ぐうの音も出ねーし…、ばか以外あたってら…くそ…」


「な、惇の事は俺に全部任せてくれないか?」


「…、…わかった」


「ただな、時間が許す限りはこいつの傍にいてやって欲しい、今の惇にとって一番傍に居て欲しいのは間違いなく裕斗なんだ…、




俺は裕斗が好きな惇でさえ構わない、





俺が惇を守る





裕斗は…、伊藤さんに惚れたままで構わない



だけど…





惇の傍にいる事はもうお前の義務だ




たとえそのせいで伊藤さんとおかしくなってもそれはお前の責任だ




裕斗には惇を守る義務がある」

前へ |次へ

作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ

携帯小説の
(C)無銘文庫