《MUMEI》

「失礼しまー…」


「あ!凪沙ちゃん!!」


ドタドタと走り寄ってくる男性。


「まあまあ、社長がそんな、子供みたいなことを」


「あ、し、失礼しましたっ、つい…」


ぷっと吹き出してしまった。


「こら!凪!!」


「あ、すんませんっ…」


(だって、25にもなって、子供みたいなのがおかしくてっ…くくっ……)


「凪沙ちゃん、」


「え?あ、はい、なんですか?」


あたしはわざと子供に話しかけるみたいに聞く。


「僕今日もう仕事終わったんだ。良かったらデート行きませんか?凪沙ちゃんの行きたいとこ連れてってあげるよ?」


「あら、いいんですか?」

「はい。というか、そのために仕事を早く片付けたので…」


照れながら言う社長さん。

「いいですよ。」


「本当??」


「はい。母ちゃん、いいよね」


「粗相のないようにね。」

「はーい。では、行きましょうか」


「はい。では、娘さんをお預かりします」


「行ってらっしゃい」


「「行ってきまーす」」



あら、ハモったわ。(笑)

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