《MUMEI》

「何でそう心配ばっかり──」

「‥ぃゃ、だって‥‥‥」





那加は‥。





「退院する頃には良くなってるもん。人込みだって平気になってるもん」

「那加‥」

「だから、余計な心配しないの」

「──ハイ、姫サマ──」

「分かれば宜しい」





こほん、

と咳払いをして、

那加は言った。





「‥ぁ」

「どうした?」

「‥‥‥あのね」

「ん‥?」

「‥‥‥目、つむって」

「ぇ、何で──」

「いいからつむって」

「‥‥‥‥‥‥‥」





言われるがまま、

俺は目を瞑った。

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