《MUMEI》 「篝一人ごとき見逃すようじゃあ、 いつか、捕まる」 床を拭きながら玄関へ向かう陽炎の頭を蹴る。 玄関の隅には眠そうな顔の篝が寄り掛かっていた。 「お前は、お前だけは、俺が守るよ。 誰にも傷つけることは出来ない。」 陽炎は首をあげて、アラタを薄目で見た。 「嘘ばっかり。 この口、これがそう言わせているのか?」 アラタは陽炎の口に自分の右足を詰めた。 眉間から辛苦の程が伝わる 「あーあ汚れた。」 アヅサは靴下を脱ぎ捨てて陽炎へぶつけた。 前へ |次へ |
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