《MUMEI》

私は、今屋上にいる。

教室から出て、すぐに階段になっていた。

上りしかないので、仕方なく上がってきた。


屋上は外のはずなのに、真っ暗だった。

夜だとしても、ここまで暗くはない。

第一、月や星が一つも出ていない。


「…どうするかな。」


私は考えた。

とりあえず、腰を下ろし休むことにした。


「あー…血が顔にも付いてるし…。」


私は、自分の顔に付いた血を拭った。


「まぁ、雪川さんも楓のもとへ逝けたんだし、いっか。」


私は、雪川さんがナイフを構えた瞬間、雪川さんの頭に鉈を振り下ろした。

雪川さんは裂けて、楓に重なるように死んだ。


私は生き残った。

これからを生きていく。


『脱出おめでとうございまーす♪』


安っぽいファンファーレとともに、あのウサギの声がした。


『2人も殺しちゃうなんて、すごいなぁ。』


ウサギは感心したように言った。


「早くここから出たいんだけど。」

『そんなに慌てないで、ゆっくりしていきなよ。せっかく逢わせたい人がいるのにさ。』


ウサギは意味深に言った。


「…逢わせたい人?」

『そっ!だから、ちょっと待っていてね。』


ウサギの声は聞こえなくなった。



私はこの時忘れていた。
ウサギが最初に言っていた言葉。

こんなことをした理由。

『復讐』だということ…

Fin…

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