《MUMEI》

「ぇ‥?」

「さっきの」

「さっきの‥?」

「うん」

「──分かった」

「あんまりぎゅっとしないでよ‥?」

「ぁ‥ハイ」





那加を抱き締める時、

俺は決まって力を込めてしまう。





自分では、

気付かない内に。





特に昨日‥

那加が病院を飛び出して行ってしまった事があったからか‥

俺はあの時、

かなりきつく抱いてしまっていたらしい。





「ねぇ日向」

「ん」

「あのクローバー、押し花にしたらどう使うの?」

「──枝折にするとか‥」

「日向、本読まないじゃない」

「ぅ‥」





そうだけど‥。

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