《MUMEI》

「──日向君、どうしたの? そんなに慌てて‥」

「ぃゃ、ちょっと‥賭けみたいな感じで‥」

「那加ちゃんの命令?」

「ハイ、まぁ‥」





というか‥

話をしている場合じゃない‥。





「すいません、急いでるんで失礼しますっ」





ジュースの紙パックを手に、

俺はエレベーターに向かった。





点検中にはなっていなかったから、

何とかギリギリで5分以内に戻って来られた。





「〜〜〜‥間に合っちゃった」





那加は、

つまらなそうに言った。





「せっかく枕準備してたのに──‥」

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