《MUMEI》
志貴の肩書き
「落ち着きなさい、厳」

「何でそんなに志貴は落ち着いてるんだよ! 祐也が志貴以外の女の子とあんなに親しくしてるのに!」


厳の意見に、俺も同感だった。


音楽室に来てから数分後、発した志貴の声は、凛としたいつもと変わらないものだった。


「祐也とあの子は、何も無いわよ。
お互い、特別な感情無いし」


(そりゃ、そうだけど)


きっぱり言い切る志貴に違和感を感じたのは俺だけでは無いようで


「そんなに信じてるわけ? 嫉妬とか無いのかよ」


トゲのある口調で、厳が志貴を呆れたように見つめた。


「…忘れてない? 私が誰だか」

「「?」」


ニッコリ微笑む志貴に、俺と厳は首を傾げた。


厳がポツリと『女王様?』と呟くと、志貴は即座に否定した。


そして、ため息をつきつつ…


「私は

祐也の、ファンクラブの会長でしょ?」


そう言ったが


(それが、何だ?)


俺は、意味がわからずまた首を傾げた。


厳も同じだったようで、『意味わかんない』と、首を傾げていた。


「仕方ないわね」


そんな俺と厳に呆れながら、志貴は説明してくれた。

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