《MUMEI》 「泣いとんのか‥?」 「──ぃぇ、大丈夫です‥‥‥」 ゴシゴシと目を擦って、 何とか気持ちを落ち着かせた。 「目、赤うなっとるで‥?」 「ぇ」 「ほんまに兎みたいやなぁ」 「───────」 久し振りに、言われた気がする。 「先生、私──うさぎのままでいいんですか‥?」 「兎のまま‥?」 「泣き虫なままで‥」 「せやからオレが守ったるんやないか」 そう言われて、私はハッとした。 『安心しぃ。オレがお前を守ったる』 前へ |次へ |
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