《MUMEI》 私が案内された部屋は、 こじんまりとしていながら── 過ごし易そうな印象だった。 「あの、柏木‥さん」 「先程はとんだご無礼を‥。お許し下さい」 「いえっ、柏木さんのせいじゃないですから‥。────」 「如何なされましたかな?」 「私、何でここに‥?」 「選ばれたのでございます」 「選ば‥れた‥?」 「鳳様は、新しい世話役をお捜しになられていらっしゃいました。ようやく、理に叶ったお方を見つけられたのです」 「‥何で私なんですか‥?」 「わたくしめはあまりお役に立つ事が出来なくなって参りました‥。故に、音無様に鳳様──そして蜜様をお任せしたいのでございます」 「ぇ‥」 ご主人様って‥ 1人じゃないんですか‥!? 前へ |次へ |
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