《MUMEI》

笠松は眉をひそめる…。



『?…なんで俺が?

…俺は只の詐欺師だぞ!…』



『人手が足りねぇんだよ…。

ヤツ(猪俣)を殺るのは一筋縄じゃいかねぇんだ!

見張りくらい出来ンだろ!?』



刺青の男はドスの効いた声で巻くし立てる。



その声に笠松は、目の前の男が筋者であることを今更ながらに実感した。



『……ったく…萩原はよぉ…

お前ら(ヤクザ)の仕事だろぅ…』



笠松は、ビビり半分の心境を必死に隠しながらボヤいた。



『ハハ……お互い持ちつ持たれつだ…』



それを見透かした様に、豪胆に笑う萩原がいた…。

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