《MUMEI》

──卯月は、

やっと落ち着いたみたいやった。





「‥今日は早退しとくか?」

「ぇ」

「しんどいやろ、髪そないにされてもうたまま教室行くんは‥」

「大丈夫です」

「無理は‥」

「大丈夫です、帰りに──髪切ってもらいに行きますから」

「そか‥?」

「はい」





卯月は、

笑顔やった。





「ありがとうございました、本当に──」

「もう教室行って大丈夫なんか‥?」

「大丈夫です」

「──ほな、途中まで送っていくな」

「ぇ」

「途中までやから。な?」

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