《MUMEI》

「‥‥‥あの、先生‥」

「?」

「ありがとうございます‥」

「気にせんとき」

「──やっぱり先生って優しいですね」

「お節介やなければええんやけどな──」

「お節介なんかじゃないですよ、全然──」

「そか?」

「はい」

「ほんなら良かった。──ぁ‥ほな、この辺で」

「はい」





卯月は、

しっかりした足取りで教室に向かって行く。





それを見送ってから、

オレは廊下を戻り出した。





「──まだ懲りないか」

「‥萱島‥!?」

「‥‥‥来い。教えてやる」

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