《MUMEI》

「少年よ…力を求めなさい」




…なんだ?何か聞こえたような…




「力を求めなさい。あなたは選ばれた存在なのです。」





…?選ばれた?なんのことかさっぱりわからない。




「もうこの運命から逃げることは許されません。生き残りたければ…力を求めなさい。」





まだいまいち頭が働いてない…そんなボクの頭でも、今の言葉でわかったことが一つある。





…どうやらボクは、聞こえてくる言葉の言う通りにしないと、帰れないどころか死んでしまうらしい。





なんでだろう…よくわかんないけど、言葉を聞けば聞くほど、その言葉に従わなきゃいけない気分になってくる…





「よくわかんないけど…力ってのを欲しいって言えばいいの?」





再び、どこからともなく声が聞こえてくる。





「そうです。力を求めなさい」





なんだかよくわかんないけど…力ってやつを求めれば帰れるのかな?それならボクに断る理由なんかない。早く…帰りたい!





「それで帰れるのなら…ボクは力を求めます」





…何も聞こえない。どうゆうことだ?まさか騙され…いや、あれはなんだ?





…あ、光だ!出口かな!?なんにしろきっとこれで帰れるんだ!





そう思ったボクは…その光に向かって全速力で走り始めた。







…それが実は、ものすごい光を放ちながら、こちらに高速で向かっている物体だとは全く知らずに。








そのことにボクが気づいた時は、もうボクの目の前に迫っていた。





避けられない…ぶつかる!





思わず声にならない声を叫びながら、反射的に目をつぶる。




そしてスピードを落とすことなくボクに向かって飛び続けた謎の物体は…





ついに、ボクにぶつかった。





ぶつかったのと同時に、不思議なことに痛みを感じない自分の体がまるで自分に向かってきた物体のようにものすごい輝きを放ち始めるのを感じながら…





そのまま、ボクは意識を手放した。

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