《MUMEI》

『ほう?……そんなに凄い奴なのか?』



『はい。…ウチの構成員も奴に幾人か殺られてますからね…。


凄まじいもんですよ……。

2人がかりで命(タマ)取りに行ったら、呆気なく返り討ちですからねぇ…。』



萩原組の若衆は、そう告げると、笠松に銃を手渡した。



『おいおい……見張りだけって約束だろ?』



笠松は物騒な贈り物を、御免被りたいとばかりに遠慮するも…



『ワタシらに何かあったときの為ですよ。

…万一のときは自分で自分の身を守って下さい。』



若い組員は覚悟の据わった目で、それを押し付けるだけだった。

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