《MUMEI》

ボクの名前は「加東陸(カトウ リク)」。ここ岡根(オカネ)市にある、岡根第一高校に通う、高校2年生。みんなからは「陸」って呼ばれてる。

ボクの住んでいるこの岡根市、実はけっこうな田舎で、市内に駅が2つしかないうえに1時間に1本しか電車が通らないため、だいたい普通は自転車で学校に向かう人が多い。

…それは普通じゃないかって?いやいや、ボクはまだ家から歩いて15分のところに学校があるから楽だけどさ、友達の中には1時間以上かけて学校まで来るヤツまでいるんだよ?大変だよねー…。

まぁそんなこと関係ないボクは、ただでさえ近いうえに、我が家の魔王から逃げるために、いつもより10分も早く家から出てきたために、ぶらぶらとカバンを振り回しながら意気揚々と学校までの道のりを歩いていた。






「結局なんだったんだろうなぁー…あの変な夢。」
そんなことを考えながら歩いていたら…

ヒュン…ドカッ!「ぐえっ!」

あ、ヤベ、カバンすっぽ抜けた。ってか今なんか聞こえたような…?





「いってぇなぁ…何すんのかなぁ〜?りっくちゃぁ〜ん?」

うわぁ…ニコニコしながら額に青筋浮かべてる。どうやらボクは2人目の魔王を産み出してしまったらしい。

「ゴ、ゴメン空(ソラ)くん!カバンが手からすっぽ抜けちゃって…ホ、ホントにゴメン!許してぇ…」

「てかまずさ、カバン振り回しながら歩くことが間違ってるよな?」

いやホントにおっしゃるとおりでございます…。
「ホントにすいませんでした謝りますなんでもするから許してください一生のお願いですか「うるせぇ!仕返しじゃ!」…ぐえっ」

…い、痛い。ものすごい勢いで殴られてしまった。なんでボクだけこんな目に?ボクなんにも悪いことしてな…いや、振り回したカバンぶつけたわ。

「とまぁ…この辺にして、おはよー陸!今日ちょっと早いんじゃねぇの?」

「お、おはよう空くん…いや、お母さんに早く行けって怒られちゃってさ。」




カバンぶつけたとはいえものすごい勢いでボクを殴って、まんがみたいなたんこぶをボクの頭に作ったことを知らんぷりしつつあいさつしてきたこの男は、ボクの親友の一人、「須藤空(ストウ ソラ)」。生まれた時から一緒で、小中高と奇跡的にクラスがずっと一緒っていうかけがえのない友達の一人。そして自慢の友達だ。

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