《MUMEI》
「え…」
ゆっくり近づいてきて、優しく抱きしめてきたカツヤ。
ああ、本当に、落ち着く…
「ずっと、出逢ったときからずっと、凪…凪沙が、大好きだった」
(あたし、今、カツヤに告白されてる…?)
涙が自然に流れてくる。
カツヤの服、ぬれてるよ…
「凪ちゃん、お願いだから、僕のお嫁さんになって?」
「っ…か、カツヤっ…!」
その台詞は、幼稚園のとき、カツヤがあたしに言った言葉だった。
「お、覚えてたの、か…?」
「当たり前だろ。自分で言っててかなり恥ずかしい…」
そう言いながら、カツヤがあたしの髪に顔をうめた。
きっと、顔真っ赤だろうな。
「凪、絶対、幸せにする。誰よりも…。今までのぶん、これからはずっと、そばにいるから…」
「…っ…うっ……」
初めて、カツヤの背中に腕を回した。
意外に大きい背中にびっくりした。
「っ…カツヤ…!」
「…」黙って、顔をあげるカツヤ。
「長い間あたしをほっといたんだから、これからはずっとあたしのそばにいろ!!離れたら、許さないからな!!!」
「はい」
「ずっと、だぞ!いいな!!この大バカ野郎っ…!」
綺麗な星空の下、
あたしとカツヤは、
2回目のキスをした。
優しいキスだった―――
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