《MUMEI》

「蜜様のお部屋でございますか?」

「ハイ‥迷っちゃって‥」

「こちらでございます」

「すいません‥」





広過ぎるんだもん‥

この屋敷‥。





ていうかここに住んでるのって‥

鳳君と蜜君と柏木さんだけ‥?





鳳君は主人って言ってたし‥

親は‥

いないのかな‥。





「ここでございます、音無様」

「ぁ‥ありがとうございました──」

「お気になさらず」





柏木さんは、

軟らかく笑った。





「では、わたくしはこれで──」

「ぁっ、柏木さん」

「?」

「無理‥しないで下さいね?」

「──有り難うございます」

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