《MUMEI》
ボクだけじゃなかった?
「ハァ、ハァ…ま、間に合ったね…」

「ギリギリだけどな…ったく、お前らがイチャついてるから…」

「慰めてたの!イチャついてたんじゃないもん!陸〜、空がいじめてくるぅ…あ、あれ?空は?」




「も、もうダメ…」

「い、いやぁぁ!陸!大丈夫!?」

「体力ねぇなぁ…海、一緒に席まで陸のこと連れてくぞ。」

そう言いながら、ため息をつくと共にボクを担ぎ上げる空くん。鍛えることが趣味の180cmの元スポーツマンには、50Kgしかないボクの体は軽いらしい。ボクもすこし鍛えようかな…

あ、海が泣いてる…「死んじゃいやぁ…」…勝手に彼氏を殺すんじゃないよ。走っただけで死亡ってボクどんだけ体弱いのさ。

「ホレ、着いたぞ。」

「あ、ありがとう空く…ぐえっ」

机の上に雑巾みたいに投げられた。…なんか今日は痛いのばっかりだ。




あ、そういえば海は!?さっき泣いてたし…

「海!大丈夫?ボクなら心配ないから安心して…」

「それならさっさと席に着くんだな。じゃないと早く来ても遅刻にするぞ?加東。」

あっ…!先生だ…しかも海なんてちゃっかり席座って大人しくしてるし…なんだろう?目から涙が…

「加東!座れって言ったのが聞こえなかったか?」

「すいません、今座ります!…あうぅ」

クラスのみんなからは大爆笑だ。ひどいや…魔王に殺されかけたり、早く出たのに遅刻しかけたり、全速力で走って死にかけたり…

「今日は最悪な1日になりそう…イテッ!」

机に足の小指をぶつけてしまった…なんで高校はサンダルなんだ!

…どうやらクラスのテンションもピークを迎えたらしい。先生まで笑ってる。あ、海まで笑ってる!さっきまで泣いてたじゃん!もうイヤだぁ…。

なんだか今日は嫌なことばっかりだ。1日大人しく寝てすごそうかな…。





そして僕は、椅子に座ってすぐ机に突っ伏して夢の世界に入るべく眠りについた…。

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