《MUMEI》
「ただいまー」
「どどど、どうだった!?」
帰るなり、母ちゃんが飛びついてきた。
「わかりましたってさ」
「そそ、それで!?」
「今回は諦めますーって。」
「今回?」
「そう簡単に諦めないってさ。」
「はあーっ……まあ、とりあえず、喧嘩とかにはならなかったのね。良かったー……」
「ははは、涼子も大変だなあ」
「父ちゃん」
「あなた!あたしの気持ちも知らないでっ!!もしかしたら、篝火ににしのやを買収されたかもしれなかったのに、どれだけあたしがヒヤヒヤしたかっ…!」
「はいはい、冷たい和菓子でも作ってあげるから、一服しましょう、若女将」
「あら、食べるー☆」
ケロッと変わった母ちゃんに、あたしと父ちゃんは静かーに笑った。
「あぁ、凪沙、」
「ん〜?」
「裏にお友達来てるわよ」
「まじ?」
行くと、いつものメンバーが集まっていた。
「「なぎー!!」」
「凪ちゃんっ、花見しに行こうっ!」
「うん、ちょっと待って、上着を……!」
「行くぞ」
カツヤの匂いがする上着を来て、あたしたちは河原に向かった。
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