《MUMEI》 過去の記憶(魔女と騎士「我には関係無い。我はただ・・枢機卿を殺せればそれで良いのだからな!!」 聞こえたのは怒声、視界には、砕け散った建物、漆黒のローブを纏う者・・ハンディング・・そして多数の魔物の死骸と町人の遺体。 「関係無いって・・どうしてそんな事が言えるの?何人・・貴女の術式のせいで何人死んだと思ってる・・それを・・」 声が・・怒りに震えていた。ロアが、魔物によって殺されて、数分しか経っていなかった。ロアの血がついた鎧。思わず付着した血に手をやる。 本来、魔物の襲撃はそれほど恐れることでは無かった。強固な城壁に囲まれ幾重にも街を覆う多重結界。それらの恩恵により街の中へと魔物が侵入することは出来ないはずであった。 彼女、ハンディングが展開した術式は、それを逆手に取ったもの・・ 街の中へ魔物を召還し結界を強制的に展開させる。 完全展開された結界は全てを遮断する。逃げようとする人々でさえも・・ ただ剣を怒りに任せ振るう。ハンディングが空中へと後退し、笑みを向ける。 「ヒトなど・・滅びればよい!魔物に喰われ、苦しみ死ぬがよい!」 はは・・はははははと壊れたように笑い、魔法陣を展開する。 「闇に染まりし、魔物たちよ・・我が声が聞こえているか・・?」 愕然とした表情でハンディグを見つめる彩詩。 「貴女は・・・一体・・何の為に・・・」 それだけを何とか言葉にする。 「解らぬか?くっくっく・・・ならば・・教えてやろう、10年前のフィリアス教対コーリア教との戦・・貴様らは勝つために禁呪を使用した・・我の住んでいた・・シレントリアスの森に住む全ての者たちの命と引き換えにな!!!」 フードを取り払い彩詩を睨みつけるハンディング。 紅く染まった瞳には憎しみ、悲しみ、恨み、怒り・・負の感情が荒れ狂っていた。 「我が血肉を喰らいここに集え・・」 ビシャ・・と音が響くとハンディングのローブから血が染み出始める 「自身の血肉と引き換えに・・」 呆然と呟く。 「ゴボ・・」 ビシャ・・ポタ・・ポタ・・とハンディングが口から血を吐く 「我の身など・・どうなっても良いのだ・・枢機卿を・・この街を殺せるのであればなぁ!!!」 辛そうに歪めた顔。紅く染まった左眼からは一筋の涙。そして狂ったような笑み・・ 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |