《MUMEI》 はぁ…もうなんか…すごいことになってる…ん?なにがすごいって?まぁ…いろいろ。 だってホラ、なんかすごい人だかりできてるし、みんなして「キース!キース!」何て言ってるし。 前の方の人なんか写メとろうとしてるし、あ、新聞部の人がカメラ持ってきてる…その横には、先生が…先生!?もうどんだけだよ…あうぅ。 「はいは〜い散って散って!残念ながらキスシーンはお預けだってさぁ。あ、新聞部の人も取材NGね。なんなら後でオレが隠し撮りしたキスシーンの写真あげるからそれで我慢して…」 えぇぇっ!?ちょっと空くんいつの間に!?ってかダメだよ!!あげないでぇ!! 「そ、空くんダメだって!いつの間に撮ったの!?」 「いや、いつっつーか、おまえらオレの前では年中シャッターチャンスだしさ。」 そ、そうだった…これからちょっと控えないとな…いや、つーかそうじゃなくて! 「え、えっと…とにかく写真もだめです!みんな帰ってください!」 照れ隠しも含みつつ、とにかく限界だったボクは、見に来た人たちに向かって大声で叫んだ。 「ちぇー…」「つまんねーの…」なんて言いながら野次馬が帰って行く。 はぁー…何て言うか…もう…すっごく疲れた。 「「はぁー…。」」 安堵の息をつきながら、僕と海はそのまま崩れ落ちるように、すぐそばにあった木に寄っ掛かりながら座り込んだ。 「おまえらホントにバカだなぁ…まぁ、オレはすっげぇおもしれぇけどな」 そう言いながら、空くんがニヤニヤしながらボクたちの肩をバンバン叩いてくる。…あ、そういえば空くんだって…! 「そ、そういえば空くん!写真返してよ!」 「ん?…まーまーそんなこと気にすんなって!細かいこと気にしてっと、オレみたいにおっきくなれねぇよ?」 ひ…人が一番気にしてることを!も、もう許さないぞ! 「そ、空くん!ボクもう許さ「あ、そういや2人に聞きたいことあったんだよ!なんか昨日変な夢見てさぁ。」…邪魔された…って」 今…何て言った?もしかして…。試しにボクが見た夢の内容を言ってみよう…。 「真っ暗なとこで変な声聞こえるヤツ?」 「あ、それアタシも見た!」 なっ…海まで!?一体どういうことなんだ…? 前へ |次へ |
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