《MUMEI》 「‥卯月達が帰ってから‥オレは廊下をぶらついとった。‥ほしたら‥」 「‥?」 「卯月に渡したストラップの兎が落ちとったから──届けたらな思て‥」 「それで‥碧依を見つけたんですね‥?」 「──そや‥。卯月が横断歩道の真中におって‥向こうから車が走って来とった‥」 あん時、 気ぃ付いたら飛び出しとった。 ただ、 卯月を助けな思て‥。 「──先生‥」 「おおきにな、卯月‥‥‥」 「‥何で‥」 「‥?」 「お礼なんか‥‥‥」 「呼んでくれたやろ?」 「ぇ」 「そのお陰で‥‥‥戻って来られたんや‥」 前へ |次へ |
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