《MUMEI》

若菜は映画を見るのは久しぶりだ。ましてや、彼氏と行くのは初めてだろう。

手を繋ぎたい、と思った

樹はポケットの中に手が入っている。
そっと、自分の手を滑り込ませた。
うとうとしていたようで首が揺れていた、
笑ってしまう。



大きな手


「樹、」
彼の肩を叩く。
こちらに気が付いて顔を寄せた。

「あのね……」
何か伝えるフリをして頬に接吻した。

仕返しだ。
散々、私を惚れさせた。

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