《MUMEI》

「──先生、具合どうですか‥?」





卯月は毎日、見舞いに来てくれとる。





「ぁ、先生──あの‥‥‥」

「?」

「果物って──好きですか?」

「果物?」

「もし──良かったら──‥」

「持って来てくれたん?」

「はいっ──」

「おおきにな。──ほな──リンゴもろてもええか?」

「は‥はい!」





卯月は嬉しそうに、リンゴの皮を剥き始めた。





「──どうぞっ」






フォークに刺したリンゴを手渡してくれてから、卯月は──ベッドの脇の丸椅子に座った。

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