《MUMEI》
過去の記憶(魔女と騎士2
「我が魔力を喰らいここに・・」  「させない!!!」
ハンディングの詠唱を邪魔するために突撃する彩詩。
彩詩の当身を喰らい吹き飛ばされるハンディング。周囲に展開していた魔法陣が霧散する。
「邪魔を・・するなぁぁあああああああああああ!!!」
声と共に真空波が発生、周囲を切り刻む。
「くぅ・・・」
幾つかの真空波を喰らい、壁に叩きつけられる。
「させない・・させないよ!!!」
再びハンディングに攻撃を仕掛ける。刃では無く、峰を向けて・・
「まだ・・立つか・・」
悲しげに響く声、手を翳すハンディング。
中空に生じる9つの火球。それぞれ不規則な動きをしながら彩詩へと迫る。
「させない・・・」
小さく呟き、右手に剣を、左手に短刀を構え、突き進む。
左手の短刀によって2つの火球は切り捨てるが、6つは直撃し、爆炎が彩詩を吹き飛ばそうとする。
「この程度・・この程度で!!!」
キュン!
瞬動によって強引に突破していく、前へと。
合わせる様に後方へ跳躍するハンディング。
「アースヒュレイト」
ハンディングは着地すると、魔法陣を発動。
砕け散った建物の破片や岩壁が高速で彩詩へと殺到。
「逃げるな!!!」
何かに突き動かされるように・・ただ叫ぶ。
ホークアイを強化し致命傷を避けながら突き進む。幾多の破片が体を掠め、血が散る。それでも歩みを止めず、ただ前へ。
「がっ・・」
苦痛に声が出、体が中に浮く。彩詩の影より出現した黒球は体を容赦なく打ち抜く。鈍い打撃音。鎧が大きく凹み何かが砕ける音が響く・・
「詠唱・・破棄・・こんな・・高位の・・」
知らず声が漏れる・・
そこに殺到する破片・・避けることなどできず、無抵抗に直撃を受け、吹き飛ばされる。
建物の残骸へと叩きつけられ、砂塵が周囲を覆う。
「これで・・最後だ。せめて・・安らかに・・」
ハンディングの声が聞こえた。
先ほどの魔法陣展開のための傷からは絶えず血が溢れ、黒いローブから地面へと滴り落ちていく。苦しそうな声はその傷が原因なのだろうか・・・

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