《MUMEI》

「開けてよ!」
窓からノック音。

アラタは無視してやろうとしたが、窓硝子を割られそうだったので鍵を開けた。

「用件、早く」
眠気が彼の苛立ちに拍車をかけた。

「誕生日に何か欲しいものある?」
燈影はアラタが投げ捨てた濡れタオルで足を拭いて上がって来た。


「――――は? それだけのために来たの?」
アラタはベッドから起きることさえ億劫で、体を丸めて枕にしがみついている。

「大事だって、俺の神様が生まれた大切な記念日だぞ?」
燈影はアラタの真下に跪づく
「何だってしてあげたい、命を絶つことだって厭わない。」



「命?
笑わせないで

大昔に俺達に心臓は捧げたんだろうが。
この俺を当たり前の言葉で口説き落とそうなんて……愚かしい!」
枕を燈影に振り下ろす。



「アラタ 優し過ぎ。
この程度痛いうちに入らない。

何が欲しいの。

困ったね。

言ってくれるまで帰れないなあ。」
燈影は枕を引っ張り、アラタを自分の胸に押し付けた

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